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滲出性中耳炎

Otitis Media with Effusion

鼓膜の奥にある中耳腔に、外との気圧の差により浸出液が貯留している病態です。痛みが少ないため気づきにくく、特に小児に多く見られます。

滲出性中耳炎の病態

滲出性中耳炎の解剖図
1

外耳道

2

鼓膜

3

中耳腔(浸出液)

4

耳管(換気不全)

耳管の役割

鼻の奥にある上咽頭と中耳は「耳管」を介してつながっています。通常、耳管は閉じていて、ものを飲み込んだり、あくびをしたりすると耳管が開き、中耳圧と外気圧が同じになるように換気されます。

換気ができないと中耳は陰圧となり、浸出液が中耳に貯留して滲出性中耳炎になります。

耳管の換気不全

耳管が正常に開閉できず、中耳の換気が行われなくなります。

中耳の陰圧化

換気不全により中耳が陰圧となり、粘膜から浸出液が滲み出します。

難聴・耳閉感

液体が溜まることで鼓膜の振動が妨げられ、難聴や耳閉感が生じます。

主な症状

難聴

中耳に液体が溜まることで鼓膜の振動が妨げられ、音が聞こえにくくなります。特に低音域の聴力が低下します。

耳閉感

耳が詰まったような感覚があります。水が入ったような感じがすることもあります。

痛みがほとんどない点に注意

急性中耳炎と異なり、痛みはほとんど感じないことが多いです。そのため、特に小さなお子様では症状に気づきにくく、発見が遅れることがあります。 テレビの音量を上げる、呼んでも反応が鈍いなどのサインに注意してください。

主な原因

耳管機能の未熟(小児)

小児(乳幼児)は特に耳管機能が未熟なため、滲出性中耳炎になりやすい状態です。 耳管が短く、水平に近い角度のため、換気機能が十分に働きにくいことが原因です。

鼻炎・副鼻腔炎

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などにより、耳管の開口部周辺に炎症が起こり、耳管の換気機能が低下します。

急性中耳炎からの移行

急性中耳炎が治癒した後も、中耳に液体が残り滲出性中耳炎に移行する症例も見られます。

上咽頭腫瘍・アデノイド

上咽頭腫瘍やアデノイド(咽頭扁桃の肥大)が耳管の開口部を塞ぐことで、換気不全を引き起こすことがあります。

治療方法

保存的治療(内服・処置)

まずは保存的治療を行います。小児では保存的治療で改善することも少なくありません。

  • 去痰剤の内服

    溜まった浸出液を排出しやすくするために去痰剤を内服します。

  • 鼻処置・ネブライザー治療

    鼻炎・副鼻腔炎がある場合は、鼻の処置とネブライザー治療を行います。

鼓膜切開

2か月以上の保存的加療でも改善が見られない場合は、鼓膜切開を行います。 鼓膜に小さな切開を加えて浸出液を排出し、中耳の換気を改善します。

切開した鼓膜は通常数日で自然に閉鎖します。

鼓膜換気チューブ留置

繰り返し鼓膜切開が必要な場合は、鼓膜換気チューブの留置を検討します。 鼓膜に小さなチューブを挿入することで、中耳の換気を持続的に確保します。

チューブ留置のメリット

  • 中耳の換気が持続的に確保される
  • 難聴・耳閉感の改善
  • 繰り返す切開が不要になる

注意事項

  • 入浴・水泳時の耳への水の侵入に注意
  • 定期的な経過観察が必要
  • チューブは一定期間後に自然脱落または除去

治療の流れ

1

保存的治療の開始

去痰剤の内服、鼻処置・ネブライザー治療を開始します。

2

経過観察(約2か月)

定期的に受診し、聴力検査や鼓膜の状態を確認します。

3

改善しない場合:鼓膜切開

2か月以上改善が見られない場合は鼓膜切開を行います。

4

繰り返す場合:チューブ留置

繰り返し切開が必要な場合は鼓膜換気チューブ留置を検討します。

早期発見・早期治療が大切です

滲出性中耳炎は痛みが少ないため気づきにくい疾患です。 お子様の聞こえが気になる場合や、耳が詰まった感じが続く場合は、お早めにご相談ください。