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急性中耳炎

Acute Otitis Media

風邪や急性鼻炎を契機に耳管経由で中耳にウイルス感染・細菌感染が起こり、短時間で中耳粘膜の炎症を起こします。鼓膜は数時間で発赤、腫脹します。

中耳炎の病態

中耳炎の解剖図
1

外耳道

2

鼓膜

3

中耳(炎症・膿)

4

耳管(鼻・のどへ)

感染経路

風邪や鼻炎により、鼻やのどの細菌・ウイルスが耳管を通って中耳に侵入します。

炎症と膿の貯留

中耳粘膜が炎症を起こし、膿が溜まります。鼓膜が発赤・腫脹します。

症状の発現

耳痛、難聴、発熱などの症状が現れます。早期治療が重要です。

主な症状

👂

耳痛

中耳に膿が貯留することで、強い耳の痛みが生じます。特に小児では激しく泣くことがあります。

難聴

鼓膜の腫脹や中耳の炎症により、音が聞こえにくくなります。耳が詰まった感じがします。

発熱

細菌感染により、38度以上の高熱を伴うことがあります。全身の倦怠感も現れます。

膿の貯留

中耳に膿が溜まり、鼓膜が破れて耳だれが出ることもあります。

主な原因

風邪・上気道感染

最も多い原因です。風邪や急性鼻炎により、鼻やのどの細菌・ウイルスが耳管を通って中耳に侵入します。 特に小児は耳管が短く水平に近いため、感染しやすい傾向があります。

急激な気圧変化(航空性中耳炎)

飛行機の離着陸時や高地への移動など、急激な気圧変化により耳管の機能が低下し、中耳に炎症が起こることがあります。 風邪を引いている時は特に注意が必要です。

アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎

慢性的な鼻炎や副鼻腔炎があると、耳管の機能が低下し、中耳炎を起こしやすくなります。

治療方法

基本的な治療

急性鼻炎、副鼻腔炎、咽頭炎の治療を同時に行います。 原因となっている上気道の感染をコントロールすることが重要です。

  • 鼻汁の吸引・ネブライザー治療
  • 消炎鎮痛剤による痛みと発熱のコントロール
  • 抗生剤による細菌感染の治療

抗生剤による治療

急性中耳炎はウイルス性と細菌性がありますが、細菌性の場合は以下の起炎菌が主な原因です:

肺炎球菌

インフルエンザ菌

モラクセラ・カタラーリス

耐性菌の問題

近年、以下のような耐性菌の増加が問題となっており、抗生剤の選択には注意が必要です:

  • PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌):ペニシリン系抗生剤が効きにくい肺炎球菌
  • βラクタマーゼ産生菌:ペニシリンを分解する酵素を持つ細菌
  • BLNAR(アンピシリン耐性インフルエンザ菌):アンピシリンが効かないインフルエンザ菌

鼓膜切開

以下のような場合には、鼓膜切開を行い膿を排泄します:

  • 高熱が続く場合

    38度以上の発熱が持続している

  • 激しい耳痛がある場合

    強い痛みで日常生活に支障がある

  • 鼓膜の発赤・腫脹が高度な場合

    鼓膜が強く腫れて膿が溜まっている

鼓膜切開により膿を排出することで、痛みが軽減し、治癒が早まります。 切開した鼓膜は通常数日で自然に閉鎖します。

早期受診が大切です

急性中耳炎は早期に適切な治療を行うことで、重症化を防ぐことができます。 耳の痛みや発熱、聞こえにくさなどの症状がある場合は、お早めにご相談ください。